「私の履歴書」登場者
自分の出生県や転勤先、現在の居住地の登場人物を探してみましょう。
たとえば、筆者はてっきり京都人と思っていたワコールの塚本幸一は宮城県、同じく生粋の広島人と思われた新日鉄の永野重雄が島根県、東京人と思われた日本医師会長の武見太郎は京都、大阪人と思っていた女優のミヤコ蝶々が東京都で生まれていました。
きっと、「へぇー」と思われる郷土の先達がおられることでしょう。
調べてみるとやはり想像どおり、人口の多い大都市がある都府県が目立ちます。具体的には、東京都190名以上、大阪府50名以上、兵庫県40名以上、次いで京都府、ついで愛知県、神奈川県です。
しかし、人口比率から考えますと、2019年10月現在、長野県19名(約210万人)、新潟県13名(約230万人)は、人口の多い北海道13名(約540万人)、千葉県12名(約620万人)、埼玉県8名(約720万人)などに比べると、登場人物が多いのです(筆者注:都道府県の人口は「2014年総務省統計」より)。一般的に、教育熱心な県として評価の高いところに登場者が多いようです(長野県、新潟県)。
大都市の東京、大阪、京都、名古屋は昔からの歴史と伝統があり都会の魅力もあるため、優秀な人が集まり、各分野の登場者が満遍なく輩出しています。
「私の履歴書」を担当された刀根浩一郎元文化部長の『私の履歴書』「経済人別巻—取材記者覚書—」では、
①たいへんエネルギッシュであること。
②たいへん記憶力が優れていること。
この2点を強調しています。
筆者は今年77歳ですが、現在活躍している登場者もご高齢ですが指導力や言動ぶりを見るかぎり、「そのとおりだなぁ」と納得できます。
「大変記憶力が優れている」ので、もし、法廷の証言台に立てば、都合の悪い証言にも「記憶にございません」とは言えないだろうと思えます。