隅谷正峯 すみたに まさみね

芸術

掲載時肩書刀剣作家
掲載期間1990/08/01〜1990/08/31
出身地石川県
生年月日1921/01/24
掲載回数30 回
執筆時年齢69 歳
最終学歴
立命館大学
学歴その他立命館 高専理工学部
入社日本刀鍛錬所
配偶者近所娘
主な仕事尾道鍛錬所、自宅鍛錬所、伊勢遷宮納刀、正宗賞3、独立、和鉄研究、正倉院刀子、象牙細工
恩師・恩人桜井正幸
人脈流政之(父・中川小十郎立命総長)、横田正光、細川護立、天田昭次、佐藤寒山
備考象牙細工で女性ファン
論評

1921年(大正10年)1月24日 – 1998年(平成10年)12月12日)は石川県生まれ。日本刀匠。昭和40年代には新作刀に与えられる最高賞である「正宗賞」を3度受賞。1989年(平成元年)には伊勢神宮式年遷宮御神宝太刀(ごしんぽうたち)を制作した。天下三名槍である「日本号」の写しは現存の写しの中で最高傑作と言われる。地鉄(じがね)の研究にも熱心で知られた。昭和50年ごろから正倉院蔵刀子や四天王寺蔵刀剣類を参考に小刀や刀子を研究、制作を続ける。 鎌倉時代の備前刀を得意とし、隅谷丁子(すみたに・ちょうじ)と呼ばれる独自の華麗な丁子刃文(ちょうじはもん)を完成した。

1.日本刀の見所3
(1)全体の姿である。ついで、地鉄の味。刀を鍛錬することによってその肌に、金筋、稲妻、地景(ちけい)、地沸(じにえ)など味わい深いさまざまな文様ができる。
(2)このすがすがしく澄んだ地鉄の中に表された玄妙な文様の、千変万化を見る。
(3)刃紋の美しさであり、「映り」「湯走り」等のさらに高度な内容ものが現れたらなお結構だ。
直刀(すぐは)と乱れ刃に大別される刃紋を焼く技術は、われわれ祖先の優れた創作で世界にも類がない。

2.日本刀の作り工程
まず、原材料となる鉄である。これは、わが国独特のたたらぶき製鉄法によって得るものに限られる。洋鉄は、高温で熔鉱し製鉄するため、鉄の中にリンなどの不純物を含有しており、日本刀独特の折り返し鍛錬に適さない。鉄と鉄とが密着しないおそれがあるのだ。和鋼が優れているのは、その粘着性が大だからだ。
(1)この原料鉄を火床(ほど)で加熱する。これを「沸かし」という。燃料は木炭に限られ、多くは松炭を用いる。沸かし用の炭は4㎝角ぐらいの大きさのものを使う。
(2)赤めた(熱した)鉄を、次に折り返し鍛錬する。鉄を折り曲げ、張り合わせ、たたき延ばすことを繰り返す。2回折り返せば4層となり、さらに8層、16層・・・。10回折り返すと2の10乗で1024層、15回では32768層となる。この過程で鉄に含まれる不純物が叩き出されるとともに、無数の層が刀の強靭さを生む。また、鉄の炭素含有量は約0.7%と半減する。
(3)こうして鍛えた鋼を成形する。刀の長さに真っすぐに打ち延ばす素延べに続いて、刀の鎬(しのぎ)を立て刃の部分を打ち出す「火づくり」を行い、ヤスリや鏟(せん)を使って細部をつくる「鏟鋤(せんすき)」を行う。
(4)準備の整った刀身にいよいよ「焼き入れ」をする。日本刀が機能的にも美術的にも比類のないものとなるための最終工程である。まず刀身に塗る特殊な焼刀土(やきばつち)を調合する。荒砥の粉に炭の粉と粘土を混ぜたものである。この焼刀土の塗り方の微妙な加減によって、独特な波紋が生まれる。
(5)焼き入れした刀身は、荒砥で研いで焼刃のできを調べ、うまくいった時は形の修正をして研ぎ師にまわす。作者が自分の作品を研ぐことを鍛冶押しという。
(6)完全に研ぎ上がったものに、 鞘(さや)や鎺(はばき)もみんな揃ったうえで、刀身全体の出来栄えを入念に再度チエックし、納得のいったところで中心(なかご)に自分の銘を切る。

3.真剣勝負0.2秒の「焼き入れ」
真っ赤に熱せられた刀身を、狙いすまして一気に水中に突っ込む。ジュッという音と共に、あたりに白い蒸気が立つ。刀づくりというお馴染みの「焼き入れ」の一瞬である。その間、0.2秒。私は焼き入れを”0.2秒の勝負”と呼んでいる。数ある刀づくりの工程の中で最も緊張する一瞬である。刀の美しさの大きな要素である刃紋が形作られるのはこの時である。火と水の洗礼を受けた鋼が冷やされた瞬間に変化して硬度を増し、刃物として美術品としての日本刀に生まれ変わるのもこの時である。と同時に、一瞬にしてそれまでの労苦が水の泡となる、失敗の起きやすいのもこの時なのだ。

隅谷正峯
本名 隅谷與一郎
誕生日 (1921-01-24) 1921年1月24日
出生地 日本の旗 日本 石川県松任市
死没年 (1998-12-12) 1998年12月12日(77歳没)
死没地 日本の旗 日本 石川県松任市
国籍 日本の旗 日本
芸術分野 刀匠
教育 立命館大学
代表作 伊勢神宮式年遷宮御神宝太刀十二振
伊勢神宮式年遷宮御神宝太刀十六振
受賞 第1回薫山賞(1972年)
紫綬褒章(1984年)
重要無形文化財「日本刀」保持者認定(1981年)
中日文化賞(1992年)
影響を与えた
芸術家
桜井正幸
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隅谷 正峯(すみたに まさみね、1921年大正10年)1月24日 - 1998年平成10年)12月12日)は石川県松任市(現在の白山市)出身の日本刀匠。全日本刀匠会元理事長。日本美術刀剣保存協会元理事。本名は隅谷 與一郎(すみたに よいちろう)。

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