和田勇 わだ いさみ

建設・不動産

掲載時肩書積水ハウス会長
掲載期間2013/11/01〜2013/11/30
出身地和歌山県
生年月日1941/04/29
掲載回数29 回
執筆時年齢72 歳
最終学歴
関西学院大学
学歴その他
入社積水ハウス
配偶者叔父の紹介娘2歳下
主な仕事名古屋、積水ハウス会、鉄骨アパート、阪神大地震、グループ再編、海外展開,リフォーム事業
恩師・恩人田鍋健、八神栄之助
人脈堀博、小林英雄、奥井勇、阿部俊則、シンガポール・フィリップ氏、米・マックロード氏、
備考4か月で40棟受注、
論評

氏は、建設業会では10人目「鹿島守之助石川六郎(鹿島)、中山幸市(太平)、江戸英雄(三井)、戸田利兵衛(戸田)、田鍋健(積水)、石橋信夫樋口武男(大和)、潮田健次郎(住生活グループ)」となるが、鹿島建設の2人、大和ハウスの2人に次いで積水ハウスが2人目となった。大和ハウスの石橋信夫、積水ハウスの田鍋健の両氏とも創業者であるため、樋口・和田両氏もその薫陶を直接受けたプロパーであった。

和田氏は名古屋の営業所長時代にプレハブ住宅業界主導で大規模な総合住宅展示場の「ナゴヤハウジングセンター」をオープンさせた。これが業界で彼の存在を認められ、自社においても評価が高めることになる。氏の「履歴書」を読むと住宅企業としてどのように生き残るか、次々と目標を掲げ施策を打ち出すリーダーシップに目を見張った。

1. 鉄骨アパート開発(本社には隠密行動)
数の拡大、大口受注を目標に掲げた名古屋東営業所長時代。実は営業所長の立場でありながら、無謀にも本社に内緒で、新商品の開発に取り組んだ。
 私が営業所長になった1969年当時は高度経済成長が続き、消費ブームが起きるなか、戸建住宅も売れたが、反面、物価上昇により地価も高騰していた。いい住環境を手に入れたいが、マイホームにはなかなか手が届かないという人たちも多かった。そこで目を着けたのがアパート建築だ。所長代理の堀博さんに相談すると、堀さんは一戸建てのプレハブ住宅の技術を応用して、一部を改良すれば総2階建ての鉄骨造りのアパート建設が可能だと提案してくれた。本社に相談しても採用される保証はない。しかし、売れる自信はある。堀さんも私同様、猪突猛進型だ。「やってみよう」。私の一存で、このプロジェクトを進めた。
 これまで市場にはほとんどなかったと言っていい画期的な新商品。時代にもマッチしている。69年に発売し、大好評だった。利益率もいい。私たちは意を強くして売りまくった。

2.業界で総合住宅展示場
1971年11月20日、この日は私の名古屋営業所長時代の記念となる日の一つだ。今の名古屋市東区高針に大規模な総合住宅展示場がオープンした。理由は65年ごろ、住宅展示場といえば大阪にしかなく、お客様をお連れするには貸切バスで大移動。各社の名古屋所長の共通する悩みであり不満だった。
 プレハブ住宅の知名度向上も大きな課題だったが、1社1単位での取り組みには限界がある。そこを「所長連合」で、地場で力を持っている在来工法の住宅会社に対抗しようということになったのだ。積水ハウス、大和ハウス、旭化成、ミサワホーム、ナショナル住宅・・・・。ライバル企業同士だが、プレハブ建築協会中部支部の集まりを通して、気心は知れていた。私は支部長を務めていた。
 こうして「ナゴヤハウジングセンター」が生まれた。プレハブ住宅メーカー17社、住宅関連を含めると130社が参加。スローガンは「太陽と緑と夢のある生活」。各社の多彩な住宅と最新の住宅設備が勢ぞろいした。連日、多くの家族づれでにぎわった。2年目には年間総入場者数が50万人を記録した。

3.田鍋健社長
田鍋さんは積水ハウスの礎を築き、トップ企業に育て上げた人だ。私が入社する前年の64年、お客様第一を徹底するため、販売を代理店任せにしない直販方式に転換されたのも田鍋社長の英断だった。私は入社後、その方針に沿って、懸命にお客様と向き合った。経営方針の指示は、いつも的確で明快。そして何より工事店を大切にされた。
 年に1度の協力工事店の「積水ハウス会」の各地区総会には、必ず顔を出された。総会の後は宴会だ。田鍋社長は浴衣姿で工事店の方たちと酒を酌み交わす。全く偉ぶらず、気さくに接し、場を盛り上げる様子は、いつも変わらなかった。「積水ハウスと協力工事店は運命共同体」。この持論を実践しておられた。ある宴席が大いに盛り上がった際、「和田君、中部の積水ハウス会はいい人間関係ができているね」と満面の笑みで褒めていただいたことがある。そして、グイッと飲み干した一合升にさらさらとペンを走らせた。「和田君、頼りにしてまっせ。次代を担え」と書かれた一合升は、今わたしの机に載っているのだ。

和田 勇(わだ いさみ、1941年4月29日 - )は、日本の実業家。積水ハウス代表取締役会長CEO、同社元相談役

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