掲載時肩書 | 北里大学特別栄誉教授 |
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掲載期間 | 2016/08/01〜2016/08/31 |
出身地 | 山梨県 |
生年月日 | 1935/07/12 |
掲載回数 | 31 回 |
執筆時年齢 | 81 歳 |
最終学歴 | 山梨大学 |
学歴その他 | 韮崎高 |
入社 | 都立高教諭 |
配偶者 | 研究生 |
主な仕事 | 理科大、北里研、東大(博士号)、米留学、特許と対価、エバーメクチン、ノーベル賞、 |
恩師 | ティシュラー |
人脈 | メルク、絵画・音楽の病院、女子美大理事長、女性画家美術館、 |
備考 |
氏は、この「履歴書」に登場したノーベル受賞者、福井謙一、小柴昌俊、江崎玲於奈、野依良治、益川敏英、下村 脩、根岸英一、利根川進に次いで9人目であった。氏以外の受賞者はエリートとして研究一筋に成果を上げてこられた方ばかりだが、氏はユニークな経歴の持ち主だった。農家の長男として農作業を手伝い、山梨大、夜間部の都立高校教師、卓球の顧問で指導し都立高大会を準優勝、理科大学院、山梨大助手(発酵生産学科)で微生物の力を知る。そして北里研究所の助教授になり抗生物質と出会い、その構造決定で論文を多く発表して内外から注目を集めることとなった。
氏の運命を変えたのは、米国大学に留学要請を出すと5大学から採用の通知が来た。一番高い給与は年間1万6千ドル(博士研究員)で、一番安いのは7千ドルだったが客員研究教授で迎えるという。この安いウェスレーヤン大学を選んだが、そこに恩人となるティッシュラー教授がおり、この先生は米製薬大手メルクの中興の祖と言われた大物だった。この関係からメルクと産学協同研究を始めることができた。この研究内容は、土壌中の微生物から有用な物質を探し出し、動物の抗生物質などの開発に使うことを目的とした。そして後に「大村方式」と呼ばれるユニークな特許と対価を明確にする契約を行った。それは、メルクは研究成果の特許を取得し、その占有実施権を持つ。特許を使った製品が売れた場合、メルクは売上高の何%かをロイヤルティとして北里研究所に支払う内容だ。この方式のお蔭で、後のノーベル賞受賞に繋がる寄生虫やダニに効く動物薬「エバーメクチン」や人間の皮膚病や乾癬症にも効く「イベルメクチン」で多くの家畜や人間を救うことにより、メルクの売上髙の継続的増加が氏の研究を大いに助けてくれることになった。
氏のすばらしいところは、ユーモアもあり、多趣味人間であることである。北里研究所の部長時代、サントリーと共同開発していたため、中堅の研究者に毎年、奨励賞として「ノーベル賞」ならぬ「ノーメル賞」を設け、優れた研究にランクを付けウイスキーを贈呈したとある。また、北里研究所の監事として、授業や研究だけでなく財務学および経営実態調査を行うなど、大学や研究所の経営にも精通する経営者になった。加えて、北里病院にはロビーにグランドピアノを置き、定期的に「市民コンサート」を開いたり、自分で集めた絵画を展示することで「心の癒し」も採り入れた。これが高じて女子美大の理事長に就任とか、女性画家の作品を集めた「韮崎大村美術館」を開館させるなど、人のためみんなのための活動を続けている。多くの人から氏が慕われる理由が、今回の「履歴書」で分かった。
大村 智 おおむら さとし | |
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生誕 | 1935年7月12日(85歳)![]() (現:韮崎市) |
居住 | ![]() |
国籍 | ![]() |
研究分野 | 化学 |
研究機関 | 山梨大学 北里大学 東京理科大学 |
出身校 | 山梨大学学芸学部 東京理科大学大学院理学研究科修士課程 |
指導教員 | 丸田銓二朗 中西香爾 都築洋次郎 |
主な業績 | ロイコマイシンの構造を解明 アベルメクチンの発見 イベルメクチンの開発 |
影響を 受けた人物 | 加賀美元男 マックス・ティシュラー 秦藤樹 |
主な受賞歴 | 日本学士院賞(1990年) コッホ・ゴールドメダル(1997年) アーネスト・ガンサー賞(2005年) テトラヘドロン賞(2010年) ガードナー国際保健賞(2014年) 朝日賞(2015年) ノーベル生理学・医学賞(2015年) |
プロジェクト:人物伝 |
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大村 智(おおむら さとし、1935年7月12日[1] - )は、日本の化学者(天然物化学)。北里大学特別栄誉教授、東京理科大学特別栄誉博士、薬学博士(東京大学)、理学博士(東京理科大学)。2015年ノーベル生理学・医学賞受賞。
微生物の生産する有用な天然有機化合物の探索研究を45年以上行い、これまでに480種を超える新規化合物を発見し、それらにより感染症などの予防・撲滅、創薬、生命現象の解明に貢献している。
また、化合物の発見や創製、構造解析について新しい方法を提唱、実現し、基礎から応用までの幅広く新しい研究領域を世界に先駆けて開拓している。
研究以外では、北里研究所の経営再建、女子美術大学への支援や私費による韮崎大村美術館の建設、学校法人開智学園名誉学園長を務めるなど貢献業績がある。