1910年（明治43年）9月29日 – 1996年（平成8年）1月26日）は埼玉県生まれ。政治家。衆議院議員、埼玉県知事を歴任。埼玉県知事として「新・現実主義」を打ち出し、野党である自由民主党の意見も必要に応じて取り入れ、地方自治に保守も革新もないという立場を取った。例えば、就任当初は「公営ギャンブルの廃止」を主張していたが、途中で撤回した。さいたま新都心構想推進に先立ち、埼玉県の首都圏の北の玄関口、交通の要衝としての機能充実に努めた。任期中に東北新幹線・上越新幹線・埼京線・埼玉新都市交通伊奈線・関越自動車道などが開通。新幹線の建設に当たっては、主に大宮市以南の住民による東北・上越新幹線反対運動が起こったが、通勤新線の建設などを条件として建設を受け入れ、土地収用に協力し、建設予定地住民との立ち退き交渉や地元の自治体との合意形成に取り組み、各線の完成にこぎつけた。

１．学生時代の反戦運動で留置場3回
元富士署には3度ごやっかいになった。後に弁護士になってここを訪ねた時、懐かしく感じた。ここの留置場は、一つの房が2坪あるかないかで、一番多い時はそこに10数人も入った。同じ方向ばかり向いていたのではとても寝られないので、皆頭と足を互い違いにして横向きに寝た。隣の人の足が口の前に来るという具合である。ここには学生もよく留置されたが、ほかにスリや「忍び」もいた。忍びとは忍び込み強盗のことだ。収監中は拷問もあった。学生運動で入った連中は、そうひどい拷問は受けなかったが、それでも髪の毛を掴んでテーブルにゴツンゴツンやられたり、角鉛筆を指の間に挟まれてゴリゴリやられた。

２．二・二六事件の反乱軍側に（鎮圧のはずが・・）
昭和11年（1936）2月26日未明。「おい、起きろ。帝都に反乱が起きたので、これから直ちに鎮圧に向かう」。突然、長島班長の声で叩き起こされた。だが、不思議なことに非常招集ラッパはならなかった。午前4時ちょっと前に出発。前夜に降った雪はやようやくやんだが、麻布一帯は白一色に覆われ寝静まっていた。
　やがて警視庁付近で行進が止まった。何と目標は警視庁だったのである。到着するや正面玄関の前に機関銃を据え、銃口を玄関に向けた。他の隊も庁舎を包囲し、その中を野中大尉が堂々と玄関から入った。こうしてあっという間に、銃を一発も撃たないで警視庁を占領した。

３．忘れられない人（浅沼稲次郎、河上丈太郎、江田三郎）
社会党内で忘れられない人は、浅沼稲次郎、河上丈太郎、江田三郎さんの3人である。浅沼さんは人間機関車と言われたくらい猛烈な行動力があり社会党を引っ張っていた。不幸にも右翼のテロに倒れたが、浅沼さんが生きていたら社会党も随分変わっていたのではないかと思う。私は浅沼さんの遺影を抱いて国会に出てきたので、私にとっての恩人である。
　河上さんは対照的に物静かで、クリスチャンの人格者だった。この二人は大先輩でもあり、尊敬していた。一方、江田さんの場合は、先輩ではあったが、そう年も違わないので仲間みたいな気持ちで付き合っていた。当時江田さんは、構造改革論を打ち出し、右派代表の形で脚光を浴び始めていた。同志だった。

４．わんわん会
社会党だけでなく、自民党議員ともいろいろな会合で良く付き合った。その中に「わんわん会」という面白い会合があった明治43年（1910）戌年生まれの議員が超党派で作った会である。メンバーは自民党が福永健司、大平正芳、黒金泰美、田中竜夫、塚原俊郎さんら、民社党が春日一幸、池田禎治さん、社会党が山本幸一、小林進、中村重光さんと私だった。私が入会したころは、福永さんが中心で会を取り仕切っていた。会からいつも一人や二人の閣僚が出ており、そうそうたる顔ぶれだった。閣僚になった人が年一回の会合を設営し、おごることになっていて楽しい会合だった。