私にとって日経「私の履歴書」は人生の教科書です

朝の冷水あび

 大屋は明治18年(1885)東京生まれで、同43年(1910)東京大学を卒業し、逓信省に入省する。欧米留学で窒素工業に注目し、大正7年(1918)住友本社に入り、化学畑を歩む。昭和16年(1941)住友化学社長となる。戦後の追放解除後、昭和23年(1948)に住友ベークライト会長となり、原子力産業会副会長なども歴任した。
 中学時代の大屋はクラスで一番背が低く、ひどく病弱でもあった。そのため、中学で1年遅れた上に、明治35年(1902)の第一高等学校受験のおりに、体格検査で不合格となった。何も知らずに学校の受験場に行ってみると、「右の者体格不合格につき受験を許さず」という張り紙を見て、自分の体格に絶望を感じたという。
この病弱な体格のため、高等学校入学の前後には3年も続けて進学が遅れる結果となった。しかし、80歳を過ぎようとする今日まで健康で生活できるのは「精神力が大事」と力説している。
 チェーンスモーカーだったが、42歳のとき重大な決意で禁煙を誓い、それを守り通してきた。その彼が、精神力と健康の関係について次のように述べている。
「“精神力即健康”と私は信じている。私の養生法は、たえず萎靡せんとする精神力をいかにして奮い立たせるかに尽きている。私は五十数年間毎朝冷水を浴び続けている。それでいて人並みに風邪もひくし、皮膚がじょうぶになったとも思えぬ。ただ、一度はじめたことは決してやめぬという精神力への一つの試金石と自分に言いきかせている。(中略)。
私の若い時代に前途有為の青年が肺病と宣告されたばかりに死んでいった例が数限りなくある。臨床医学が発達していなかったことも一因ではあろうが、精神の弱さがいかに肉体をむしばむものであるかがうかがわれる」(『私の履歴書』経済人七巻 477p)
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 朝の冷水浴びは、高齢者や血管系の持病がある人にはお勧めできませんが、公益財団法人・天風会会員の私は毎朝、水道水でこれを実行しています。
 夏の暑いシーズンから始めると、すんなり受け入れられます。つらいシーズンは1月~2月ですが、4月~6月、9月~11月はとても気持ちのよいものです。
 天風会会員の多くは、朝の冷水浴びで心身をリフレッシュして活動しています。


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