生年月日 | 1922年5月15日 | 私の履歴書 掲載日 | 1992年5月01日 |
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執筆時年齢 | 69 歳 |
自立女性(91歳、84歳、72歳、63歳)の逞しい生き方
「いよよ華やぐ」は1999年に瀬戸内寂聴(77歳時)が書いた自伝的小説である。現代女性は男女同権を主張し、自分の幸せを追い求める姿が当たり前になっていますが、寂聴さんは宇野千代さんや鈴木真砂女を深く知ることにより、この自分と彼女らをモデルにして現代女性像を書いたのでした。彼女たちの経歴は下記の通り。
瀬戸内寂聴:女子大学在学中の1943年に21歳で見合い結婚し翌年に女の子を出産、その後夫の任地北京に同行。1946年に帰国し、夫の教え子と不倫し、夫と3歳の長女を残し家出。
宇野千代:小説家、随筆家。多才で知られ、編集者、着物デザイナー、実業家の顔も持つ。作家の尾崎士郎、梶井基次郎、画家の東郷青児、北原武夫など、多くの著名人との恋愛・結婚遍歴を持つ。
鈴木真砂女:現鴨川グランドホテルの三女として生まれる。女子商業学校卒業後、22歳で日本橋の靴問屋の次男と恋愛結婚し、一女を出産。しかし夫が賭博癖の末に蒸発してしまい、実家に戻る。 28歳の時に長姉が急死し、旅館の女将として家を守るために義兄(長姉の夫)と再婚。俳句に興味を持ち数々の俳句賞を受けた実力者。
この小説の主人公・阿紗女を慕う3人が次のような設定でストーリー展開する。
藤木阿紗女(91歳)銀座の小料理屋を経営の傍ら有名俳人でテレビにも出演。実姉の急死で義兄と結婚し、実家のホテル経営を手伝うも年下の妻帯者を追いかけ出奔する。
浅井ゆき(84歳):着物の研究家であり、赤坂で高級な呉服屋を経営している。ゆきは別れた夫が別の女性に産ませた子供の面倒をプラトニックラブでずっと見てきた女性。
杉本珠子(72歳):新宿のゴールデン街で酒場のマダムとして経営。不動産を持ち生活は安定している。彼女は明るく性愛の達人で多くの芸人が集まってきている。
阿紗女の娘・薫(63歳):父と母に捨てられ、母と違う道を求めて2度結婚するも失敗。いま彼女は、漆器や陶器、ガラスを商う店を経営。才能ある年下の工芸作家と恋愛中。
これを読み一流小説家の才能は凄いなぁとつくづく思った。作者はモデル二人と自分の生きてきたいろいろな経験をもとに、恋愛、愛欲、愛執をじりじり焼かれるような男女の姿を描き切るのだから。特に阿紗女は9歳下の不倫相手・昌也と30年同棲するが、彼の死後、その息子から母の日記を見せられる。妻は包丁を振り回し、別れてくれと何度も良人に頼んだ。しかし、彼は別れられないと断わる。阿佐女の存在が昌也の家庭では修羅の連続だったのは、寂聴さんが経験者だから書けるのですね。自分の幸福を貫くと他人の家族を修羅場にする。ウーンです。2020/02/09
瀬戸内 寂聴 (せとうち じゃくちょう) | |
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瀬戸内寂聴(2012年) | |
ペンネーム | 三谷晴美、三谷佐知子、瀬戸内晴美、晴美、ぱーぷる |
誕生 | 三谷 晴美 1922年5月15日 日本・徳島県徳島市塀裏町 |
死没 | 2021年11月9日(99歳没) 日本・京都府京都市 |
墓地 | 二戸市の天台寺 |
職業 | 尼僧・小説家 |
国籍 | 日本 |
最終学歴 | 東京女子大学国語専攻部 |
活動期間 | 1955年 - 2021年 |
ジャンル | 小説 |
代表作 | 『花芯』(1958年) 『夏の終り』(1962年) 『かの子撩乱』(1962年 - 1964年) 『美は乱調にあり』(1965年) 『花に問え』(1992年) 『現代語訳 源氏物語』(1996年 - 1998年) 『場所』(2001年) |
主な受賞歴 | 新潮同人雑誌賞(1956年) 田村俊子賞(1961年) 女流文学賞(1963年) 谷崎潤一郎賞(1992年) 芸術選奨(1996年) 野間文芸賞(2001年) 文化勲章(2006年) 泉鏡花文学賞(2011年) 朝日賞(2018年) 叙従三位(2021年、没時叙位) |
デビュー作 | 『痛い靴』(1956年) |
瀬戸内 寂聴 | |
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名 | 瀬戸内 晴美 |
宗旨 | 天台宗 |
寺院 | 寂庵 |
師 | 今東光 |
称号 | 権大僧正 |
瀬戸内 寂聴(せとうち じゃくちょう、1922年〈大正11年〉5月15日 - 2021年〈令和3年〉11月9日[1])は、日本の小説家、天台宗の尼僧。位階は従三位。俗名:晴美(はるみ)。僧位は権大僧正[2]。1997年文化功労者、2006年文化勲章[3]。天台寺名誉住職、徳島市名誉市民[4]、京都市名誉市民[5]、二戸市名誉市民[6]。天台寺住職、比叡山延暦寺禅光坊住職、敦賀女子短期大学学長を務めた。
作家としての代表作は、『夏の終り』『花に問え』『場所』など多数。1988年以降は『源氏物語』に関連する著作が多く、新潮同人雑誌賞を皮切りに、女流文学賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを受賞した。
大正・昭和・平成・令和と4つの時代を生きた作家である[7]。