田河水泡 たがわ すいほう

文芸

掲載時肩書漫画家
掲載期間1988/10/01〜1988/10/31
出身地東京都
生年月日1899/02/10
掲載回数30 回
執筆時年齢89 歳
最終学歴
日本美術学校
学歴その他
入社薬屋奉公
配偶者小林秀雄妹
主な仕事落語家、陸戦隊(鳩)、前衛運動、 「のらくろ」、銅版画、滑稽論3部作
恩師・恩人中島民千、加藤編集長
人脈村山知義、小林秀雄、長谷川町子(弟子 )、恩地孝四郎、加藤芳郎、横山泰三、岡野準一郎
備考クリスチャン(町子も
論評

1899年〈明治32年〉2月10日 – 1989年〈平成元年〉12月12日)は東京生まれ。漫画家、落語作家。昭和初期の子供漫画を代表する漫画家であり、代表作『のらくろ』ではキャラクター人気が大人社会にも波及し、さまざまなキャラクターグッズが作られるなど社会現象となるほどの人気を獲得した。

1.塞翁が馬
自分にとって災難とだと思われたことが、後に幸せの元になるという出来事にたびたび遭遇した。例えば、私は生後1年で母と死別し、伯母の家に預けられて育った。その伯母の夫、つまり義理の伯父が南画を描く趣味人だったので、私はそこで絵心を育まれ、画家を志すきっかけを得た。
 20歳になっていよいよ本格的に絵の勉強を始めようとした時に、召集で軍隊にとられた。私は軍隊がいやでいやでしょうがなかった。貴重な青春の2年間を空費して、たいへん損をしたとその頃は思っていたが、この経験がのちに「のらくろ」を描く際に役立った。軍隊から帰った後の数年間、前衛芸術運動に加わって、熱心に抽象画を描いた時期がある。当時、抽象画などまったく売れず、いくら描いてもカネにならなかった。しかし、抽象画の発想法を学んだことが、その後、漫画を描くときに役立った。

2.結婚:隣家の小林秀雄の妹と
連載漫画を描き始めた昭和3年初め、東中野の私の借りていた家の向かいに、当時無名に近い小林秀雄が引っ越してきた。小さな庭を隔てて、すぐ向かいの家だから、まもなく小林と私は顔を合わせれば「おはよう」とかの挨拶をする付き合いになった。彼の妹の小林冨士子も時々訪ねてきた。
その頃私は、家の羽目板に油絵で抽象画を描いていた。それを見て彼女は最初、「おかしな人だ」と思っていたそうだ。大家の松本夫妻と兄小林の勧めもあって結婚する気になったようだ。
 昭和3年9月14日、私たちは松本夫妻の仲人で結婚した。私は29歳、冨士子は25歳だった。その頃、冨士子は女学校の英語教師をしていたが間もなく辞め、のちに高見沢潤子の筆名で戯曲や随筆を書くようになった。

3.漫画家の格
「のらくろ」の前に「目玉のチビちゃん」を描いていた頃、子供漫画を描くのは絵描きの一番どん底に落ちた者がすることだと思って、恥ずかしかった。画家を志す者は鑑賞価値のある絵を描いて生活することに目標を置く。ポスター、雑誌の口絵、大人の風刺画としての政治漫画など、絵の技術を応用して生活する仕事はいろいろあるが、そんな中でも芸術性よりも娯楽性の強い子供漫画は、画家の仕事として最低だと思っていたのだ。

4.弟子:長谷川町子
昭和10年には女学校を卒業したばかりの長谷川町子が入門、荻窪の家へ住み込んだ。本人に素質があったから、別に教えることは何もなかった。絵もうかまったし、女性でなければ気づかないような主題を漫画にできた。当時は女流漫画家がいなかったせいもあるが、「少女俱楽部」へ紹介すると、いきなり連載の仕事がきた。彼女は1年ほど私たちと同居した。お手伝いさんは別にいたのだが、その仕事を助けて進んで掃除するなど、よく働いてくれた。
 彼女が入門して同居することになったとき、熱心なクリスチャンだった彼女の母親から「日曜日には教会の礼拝に出席させてください」と家内が頼まれた。町子と一緒に隣の教会に通っているうちに、家内も洗礼を受けてクリスチャンになった。この影響を受け私も53歳の時、洗礼を受けた。

たがわ すいほう
田河 水泡
『商工経済』14-2、経済通信社、1961年
『商工経済』14-2、経済通信社、1961年
本名 高見澤 仲太郎(たかみざわ なかたろう)
生誕 (1899-02-10) 1899年2月10日
日本の旗 日本東京府東京市本所区(現在の東京都墨田区
死没 (1989-12-12) 1989年12月12日(90歳没)
国籍 日本
職業 漫画家落語作家
代表作のらくろ
受賞
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田河 水泡(たがわ すいほう、1899年明治32年〉2月10日 - 1989年平成元年〉12月12日)は、日本漫画家落語作家。本名︰高見澤 仲太郎(たかみざわ なかたろう)。

昭和初期の子供漫画を代表する漫画家であり、代表作『のらくろ』ではキャラクター人気が大人社会にも波及し、戦後もさまざまなキャラクターグッズが作られるなど、社会現象となるほどの人気を獲得した。

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