木瀬照雄 きせ てるお

その他製造

掲載時肩書TOTO元社長
掲載期間2021/06/01〜2021/06/30
出身地福岡県
生年月日1947/04/29
掲載回数29 回
執筆時年齢74 歳
最終学歴
京都大学
学歴その他鹿児島ラサール高
入社東洋陶器(TOTO)
配偶者記載なし
主な仕事営業、ウオッシュレット、リモデル、米国視察、企業連携、女性活躍(きらめき大会)、UD研究所
恩師・恩人重渕雅敏、日比野省三
人脈君原健二、戸川純、仲畑貴志、王貞治
備考父「日本の5人の紳士」の一人
論評

氏は森村グループ企業で「私の履歴書」に登場した竹見淳一(日本ガイシ:1994年6月)、柴田昌治(日本ガイシ:2017年7月)に次いで3番目である。氏の父親が米国人ジャーナリストのフランク・ギブニ―が1953年に上梓した「日本の5人の紳士」に登場する、5人とは昭和天皇、元海軍士官、鉄鋼労働者、農民、新聞記者であり、父はそのうちの鉄鋼労働者であった。この本の意図は、当時の立場の全く違うこの5人への取材を通して戦前戦後の日本人の深層心理の変化を描き、世界に日本人の実像を知ってもらおうとしたものだった。この「履歴書」では、氏は生活文化の本質を掘り下げ企業文化と融合させて、生活者と共に喜びを分かち合う企業のあり方について書いてくれていた。

1.TOTOのルーツ
2002年、社長になる前にまず、TOTOを知ろうと源流である森村グループの社史を手にした。福沢諭吉から貿易を勧められた森村市左衛門が骨董品を海外に輸出するため1876年に商社「森村組」を創業。洋食器を日本で広めようとデザイナーや職人を米国で修業させ、約30年かかって国産のディナーセットができあがったという。
 1904年に日本陶器合名会社(現ノリタケカンパニーリミテド)が設立。17年には東洋陶器(現TOTO)が生まれ、その後、日本碍子(現日本ガイシ)、日本特殊陶業などで形成する森村グループが出来上がったのだった。ここで企業理念の「国民生活の向上」などを再認識することができた。

2.「現地主義」を活用(リフォーム事業)
生き残りの道は個人住宅向け需要を見据えた地域密着営業に徹すること。そこを強化し、増改築の仕事を拡大しないと成長はなかった。特約店などと話し合い、水道工事店向けに増改築や取り換え用の商材を載せたパンフレットなどを制作した。TOTO独自の取り組みとしては、毎年全国市町村の下水道局を訪問し、前年度の下水道を利用している放流戸数を調べ冊子「全国下水道の現況」を配布していた。調査に行くと下水道接続工事の補助金対象の水洗便器に思った以上の高級機種を指定する自治体があることが分かった、下水道組合工事店に「補助金分を活用して洗面化粧台も勧めてください」とお願いした。

3.ブレイクスルー思考(商品開発―未来志向で)
1996年(平成8)6月、株主総会で取締役就任が承認され、49歳で経営戦略室長になった。「ブレイクスルー思考」で有名な日比野省三先生をお招きして、副社長の重渕雅敏さんにリーダーになってもらい、業務革新を全社展開した。
 この思考は今ある商品をどう改良すればいいかを過去の経験からは考えない。「これは何のためのものか」と目的を考え抜き、出てきた結論をさらに「何のために」と問うことを繰り返す。そこから結論=理想の姿、「こんなものがいい」「こんな技術がいる」を導き出す。極端に言えば「こんなもの無くてもいい」という結論になることもある。要するに根本を考え抜くことで、TOTOでは親しみやすく「コンポン」と言っていた。
 お世話になった日比野先生の「過去の延長線上に未来はない」という言葉は私の背骨になる。「こうありたい」と描き、未来からの視点で新しい価値を提案し、実現していく。「10年後の姿を描き、そのためには5年後には、3年後にはここまでやらなくてはいけない」と考える。
 私の社長時代は「TOTOは何のための会社か」について考え抜き、企業理念の再構築、グローバル経営の推進、リモデル事業の発展、中期計画の策定に役立てた。

4.企業理念体系を「心と体」に分解して理解を求めた
「心」は昔から引き継がれ、将来も変わらない普遍的な思想の「社是」と、「社是」が伝える基本にありたい姿を示す「企業理念」と、利害関係者の満足を実現する基本的スタンスである「行動憲章」で構成した。
「体」はその時代における進むべき方向性、ビジョン、ミッション、中・長期経営計画だ。「心」と「体」の2軸はお互いが張り合って成長して行くイメージだ。

木瀬照雄(きせ てるお、1947年4月29日- )は日本実業家[1]TOTO会長兼取締役会議長。社団法人日本建材・住宅設備産業協会(建産協)会長、九州経済連合会副会長[1]福岡県北九州市出身。

  1. ^ a b 役員=九州経済連合会,2011-06-23閲覧。
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