加藤唐九郎 かとう とうくろう

芸術

掲載時肩書陶芸家
掲載期間1981/05/01〜1981/05/30
出身地愛知県
生年月日1897/07/19
掲載回数30 回
執筆時年齢83 歳
最終学歴
小学校
学歴その他学習塾
入社16歳独立
配偶者夫:20 妻:15
主な仕事古窯発掘(瀬戸→志野、織部、黄瀬戸)、陶祖「藤四郎」説否定、桃山志野、「陶器大辞典」、永仁壷事件、日本陶芸協会
恩師中根聞天
人脈成瀬傳、益田鈍翁、北大路魯山人、小野賢一郎、松永安左衛門、ピカソ、郭沫若、会津八一
備考キリスト教・バイオリン・文学熱中
論評

1897年(明治30年)7月19日(※戸籍上は1898年(明治31年)1月17日) – 1985年(昭和60年)12月24日)は愛知県生まれ。陶芸家、また陶磁史研究家。桃山時代の陶芸の研究と再現に努めたが、1960年に永仁の壺事件で古瀬戸の大規模な贋作を行っていたことが発覚し、批判を受ける。事件後は公職を辞任し作陶に専念した。建築物と陶磁器の組み合わせ陶壁を創出。

1.ブタ箱の経験
窯跡探索は子供のころから始めていたが、本格的に瀬戸系古窯の調査、研究を始めたのは、大正7年(1918)からである。愛知県が大がかりな砂防工事を一通り完成させたが、その後も窯跡一帯を立ち入り禁止にし、警察が違反者を厳重に取り締まった。中へ入るだけで罪になったが、古窯への興味はそんなことでは失せない。どうしてもかっての工人たちの仕事のすべてが突き止めたかった。私は山に入る。警察はそれをキャッチして私の後をつけ、逮捕する。ブタ箱入り。
 昔の留置場は、最初に大きな鉄のドアがあって、それが閉まる。まず「ギィー、ギャシャン」という音。さらに何か鎖のような感じのものの音が追い打ちをかけて「ガチャガチャガチャ、ビシャーン」。初めてあれを聞いた時は、もう二度としゃばへ出られないような気がした。「あぁ、こんなことをしていけない」と反省するのだが、それも二度、三度と重なるうちに慣れてきて平気になってしまった。

2.ピカソと陶器
ピカソは時がたつにつれて少しずつ変化していく油絵の具の不安定さを嘆いていた。百年もたったら見る者に作家の描いた正確なイメージは伝わらない。だが陶器の色は一度焼かれたらもう変わらない。ここにピカソは自分の求める”時の永遠“の保証を見出したのである。ピカソは陶芸を始めてから絵画の色彩がより強く、美しくなったという。彼は陶器の持つ色感に負けないで、これを十分に駆使することができたのである。
 ピカソの陶芸だけを見ても偉大な芸術家であると驚嘆せざるを得ないのである。ピカソは古郷スペインの古窯に精通していたばかりか、日本の織部焼との相関性を感得していたので、ピカソの水差しと私の織部焼とを交換したわけである。不思議な因縁を感じる。

3.技術水準と夢
私の焼きものをみればみるほどまずいと思う。いくらやっても上手にならないと思う。しかし、私はこと焼きものに関しては、ますます下手になることを少しも悲しまない。自分を反省する力、自分の心に問い直す努力が増せば増すほど自分の仕事が醜く思えてくる。しかし、それは恐れるには足りない。良い仕事をやっていると確信してよいのだ。そのことがおぼろげにわかりかけた時、その喜びで私は一夜、泣けて、泣き明かしたことがある。
焼きものの道はまた、いつも「逃げ水」を追っているようなものだ。技術の上で追いついたと思っているとまた遠ざかる。伝統を究め、ようやく技術をわがものにできたかと一安心すると、次にはもう同じことができない。技術面での新たな光を見出して、これで一生行こうと思っていると光が遠のく。何べんでも何べんでも、一生行きつ戻りつの往復運動を繰り返している。それでいて決して私はあきらめない。いつも私の心には何かできそうな”妄想“がある。夢がある。こればかりは誰にも負けぬほどたくましい。そんな夢を持ち、夢の中に生きているからこそ、どうにか作家らしい形が保てているような気がする。芸術とは難しいものと思う。

加藤 唐九郎(かとう とうくろう、1897年明治30年)7月19日(※戸籍上は1898年(明治31年)1月17日) - 1985年昭和60年)12月24日)は陶芸家、また陶磁史研究家。愛知県東春日井郡水野村(現・瀬戸市水北町)出身。桃山時代の陶芸の研究と再現に努めたが、1960年に永仁の壺事件で古瀬戸の大規模な贋作を行っていたことが発覚し、批判を受ける。事件後は公職を辞任し作陶に専念した。建築物と陶磁器の組み合わせ陶壁を創出。陶壁は唐九郎による造語。

一ム歳、一ム、野陶、ヤト、陶玄、玄などの号も用いる。

子息の岡部嶺男(長男)[注釈 1]加藤重高(三男)と孫の加藤高宏も同じく陶芸家である。

  1. ^ 松井 1995, p. 169.


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