私にとって日経「私の履歴書」は人生の教科書です

辞めさせたい管理職への対応

 ジャック・ウェルチは21年にわたり、GE(ゼネラル・エレクトリック)のCEO(最高責任者)として経営改革に取り組み、世界最優秀企業に育て上げた。平成11年(1999)には『フォーチュン誌』で「20世紀最高の経営」に選ばれる。
昭和10年(1935)アメリカのマサチューセッツ州に生まれた彼は、昭和32年(1957)マサチューセッツ州立大学卒業後、イリノイ大学院で博士号を取得、35年(1960)GEに入社。
46歳(昭和56年:1981)でGE会長となったウェルチが最も力を入れたのは人づくりであり、すぐれた人材を育成する研修を最も重視していた。
 人材開発のプログラムの狙いは、1人ひとりの個性化、差別化にあり、その教育には研修センターを活用した。昭和63年(1988)の1年間にはこの研修センターの受講者が5000人にも達する。
 ここの研修目的は、ワークアウト(WO)プログラムを実施し、現場の従業員を集めて会議や業務の評価の仕方などに不要な仕事や職務(ワーク)を追い出す(アウト)ことだった。
この研修では、課員の提案に課長がその場で即決する。即決できなければ管理職の資質が問われることになる。課員は自分のアイデァがただちに採用されるとわかれば、組織は活性化するからだ。
 このようにして、1992年までに社員20万人がこの研修センターで教育を受けたという。当時を振り返り、ウェルチは辞めさせたい管理職に次のようにドライに接したと書いている。
「業績の悪いものをどんどん解雇し、成績のいい者には大幅に給料を上げ、ボーナスも弾んだ。けり飛ばす一方、抱いてなでる。それが今日まで続く私のやり方だ。(中略)。
 辞めさせたい管理職には必ず事前に二、三回、個別面談し、私が何に不満かを伝え、ばん回のチャンスも与えた。業務報告のたびに私の意見をメモに書いて渡した。だから最後通告の時にショックを受けて取り乱す例はただの一件もなかった」
(「日本経済新聞」2001.10.14)
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「私の履歴書」に登場する経営者で「辞めさせたい管理職への対応」など本人のマイナスイメージとなる情報を具体的に記載する人はいませんでした。
 ウェルチは信念をもってこのやり方をドライに進めますから、いっそう迫力があります。日米経営者の違いを痛感します。


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