私にとって日経「私の履歴書」は人生の教科書です

自信を持たせてくれた

1935年米国、マサチューセッツ州で生まれる。マサチューセッツ州立大学卒業後、イリノイ大学院で博士号を取得、GE(ジェネラル・エレクトリック)入社。後年、21年に亘りCEO(最高責任者)として経営改革に取り組み、世界最優秀企業に育て上げた。1999年には『フォーチュン誌』で『20世紀最高の経営者』に選ばれた。

一人息子だった彼は幼少のころ背丈が低くて吃(ども)る癖を持つのため内向的であったが、吃るのは、母親が「貴方は頭の回転が早いため言葉が追いつかないのよ。心配要らない」と自信を持たせたり、トランプゲームに付き合せ「勝負の面白さと闘争心」を植え付けた。この自信と誇りが成長後の彼の生き方に大きな影響を与えた。次の文章は連載3日目に掲載されたが、母親の教育方法が厳しくて優しいしつけぶりが好評で、特に女性読者から「子育ての参考になる」と大きな反響があったと聞いている。

母が私にくれた最高の贈り物をたったひとつだけ挙げるとすると、それは多分、自負心だろう。自分を信じ、やればできるという気概を持つことこそ、私が自分の人生で一貫して求め続けてきたことであり、私と一緒に働く経営幹部一人ひとりに育(はぐく)んでほしいと願ってきたことだ。自負心があれば、勇気が生まれ、遠くまで手が伸びる。自分に自信を持つことでより大きなリスクも負えるし、最初に自分で思っていたよりもはるかに多くのことを達成できるものだ。

 この、ゲームの競争心で「自分を信じ、やればできる」という自負心が背丈のハンディの克服と、その後の野球、ホッケー、ゴルフといったスポーツへの興味、そしてビジネスへの情熱へとつながっていった。ここで培われた自信と誇りが、成長後の彼の生き方に大きな影響を与えたのです。
 ウェルチが幾多の大胆な経営革新を行ない、GEを世界最強の優良企業に育て上げることができたのも、自分に対する絶対的な自負心をもてたからでした。
この「履歴書」には、ヤナセ会長の梁瀬次郎も吃りの癖があったことを告白していますが、3人に共通して言えることは、吃音を治すにはまず、第一は親からは「本人に自信を持たせる」、本人にとっては「自分は克服できる能力を持つ」の自信であると書いている。天風会(注1)では「自己暗示法で治す」ことを勧めています。これは夜寝る前に鏡で自分の顔を映し、その眉間に向かって自分が願っている姿を想像しながら、「お前はできる」と声を出して自己断定して眠る。そして翌朝、目が覚めた時点で自分が願っている姿を想像しながら「お前はできた」と自己暗示かける。この繰り返しをすることで自分に対して「何事も克服できる自信」をつけることができます。私もこれを実践することで自分の種々の弱点を克服することができました。

注1:天風会
人間が本来生まれながらにもっている「いのちの力」を発揮する具体的な理論と実践論である「心身統一法」を普及・啓発している公益法人。
本部(天風会館)  〒112-0012 東京都文京区大塚5−40−8


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