文章に多少の自信があり、責任感の強い経営者が登場人物であると、担当記者任せにせず、何とか自分で原稿を書こうとします。だいたいこれが、周囲を苦労させるパターンになります。
自分で書こうにも、朝から会議や来客、夜は夜でさまざまな集まりがあり、時には出張と、執筆時間など取れるはずもありません。あげくの果てに、原稿締切間近にホテルにこもることになります。
このようなときは当然、本人の話をもとに秘書たちが片端から原稿を書いていくことになります。「履歴書」に載せるべき事柄を、人生を辿りながら、本人の記憶のままに書き連ねて、規定の原稿量を越えるだけの内容をとにかく作成します。
そこから、重要事項を落としていないかなどの確認をした上で、間違いがないように裏づけとなる資料と首っ引きで削除、追加、修正しつつ規定の量の原稿に仕上げるのですから寝る間などありません。
4~5回分ぐらいづつまとめて、新聞社に渡していくのだそうですが、何よりも本人の満足する出来にしなくてはならないわけですから、このような「取りまとめ」をしなければならなかった方々のご苦労は察するに余りあり、同情してしまいます。