不振店舗への対応策

「昭和12年(1937)埼玉県生まれ。16歳で上京。見習いコック、バーテンダー経験。19歳のコーヒーショップ店長。昭和34年(1959)ブラジルに単身渡航。コーヒー農園工場の現場監督。世界一周後に帰国。昭和37年(1962)ドトールコーヒーを創業、社長。フランチャイズ展開。平成3年(1991)ハワイにコーヒー農園取得。平成12年(2000)東証一部上場。平成17年(2005)会長、同18年(2006)名誉会長。」

*鳥羽はブラジルコーヒー農園での修業後、昭和37年(1962)24歳の春にドトールコーヒーの卸業を設立した。コーヒーの卸先は徐々に増えていったので、同47年(1972)店頭でコーヒー豆も販売するコーヒー専門店を開店させる。直営一号店のコンセプトは「健康的で明るく、老若男女とも楽しめる店」の「カフェコロラド」であった。このコロラドの大成功でチエーン店を希望するオーナーが続々と現れ、急激に店舗網が拡大していった。
 しかし、オーナーの性格などにより経営不振に陥る店もあった。彼は当初どう対応したらよいか分からず非常に苦しんだという。しかし、悩みに悩んだ揚げ句、電撃の如く「店の魅力、商品の魅力、人の魅力」と閃めいた。店の魅力とはお客様に、そこにいる事が何とも心地いいと思ってもらえることで、しかも、外から見て気持ちよさそうだと感じなければ入ってきてくれないと気づいた。かれは、その気づき場面を次のように語っている。

「その事を何度も指導するうち、オーナーと私の「魅力の基準、努力の基準」が違う事に気づいた。そこで社員と共に不振店に行き、装飾物を全部外して作った時の状態に戻し、徹底して清掃した。外観の塗装をやり直し、壁や床、椅子も磨き込み、その上で私の基準で絵、花、置物、椅子などを置き直し、売店の商品も並び替えた。店は見違えるようになった。翌日から売り上げは二割増えた。」(日本経済新聞 2009.2.23)